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「白血病」の「予後」についてご存じですか?種類ごとに医師が解説!

 公開日:2025/06/14
「白血病」の「予後」についてご存じですか?種類ごとに医師が解説!

白血病は不治の病で、現代医学でも完治するのは難しいイメージを持つ方は少なくありません。白血病は大きく2つの種類に分けられており、さらに進行のスピードから慢性と急性の種類に分けられます。

この記事では、白血病とはどういう病気なのか、種類と種類ごとの予後さらにはステージ別の予後について解説します。

さらに白血病と診断される際の検査方法も解説し、質問形式によって白血病は完治するのか、さらには年齢によって回復に違いがあるかどうかを回答していますので参考にしていただければ幸いです。

山本 康博

監修医師
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

白血病とは?

白血病は血液のがんです。
血液を作る細胞に異常が発生してがん化することで、白血病細胞が無制限に増殖していきます。詳しい原因や予防法はわかっておらず、加齢とともに罹患率が増えることから生活習慣や老化との関連性が指摘されています。
初期症状は貧血や高熱、風邪に似た症状、出血などです。健康診断などの検査結果から要検査となり、再検査によって判明することが少なくありません。

白血病の種類ごとの予後

白血病にはリンパ性白血病と骨髄性白血病の2種類があり、それぞれ慢性と急性があるので4種類の白血病になります。
急性は文字どおり急激に病状が進行します。リンパ性と骨髄性の違いは、どちらも細胞が異常に分化するのですが、リンパ球系の細胞か骨髄球性の細胞の違いによるものです。
ここでは、それぞれの白血病の予後を解説します。

急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病は、白血球の一種であるリンパ球になる前の細胞ががん化して白血球細胞となって増殖していく白血病です。
正常な血液細胞がつくられなくなるので、白血球はもちろん赤血球や血小板も減少します。鼻血が出たり歯茎から出血したりする症状が見られます。倦怠感や発熱なども見られますが、文字どおり急性で病状の進行が早く、診断後に速やかな治療が必要です。
小児より成人の治療が難しいとされていますが、新しい治療法の導入によって予後が改善しています。

慢性リンパ性白血病

慢性リンパ性白血病(CLL)は、急性型とは異なり、比較的ゆっくりと病状が進行する特徴があります。
初期の慢性期では白血球が通常の機能を保っているため、自覚症状が乏しく、診断が遅れることも少なくありません。しかし、進行するにつれて、鼻血や歯茎からの出血などの症状が現れることがあります。
一般に、予後は良好とされますが、病状や年齢によって異なる場合があります。

急性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病は、骨髄で骨髄芽球とよばれる細胞が増加し正常な白血球や赤血球・血小板が減少していく病気です。
進行速度が速く、初期症状は発熱や倦怠感、紫斑などが見られます。診断後、入院となり投薬化学療法が中心の治療が行われます。治療法の進歩により、急性骨髄性白血病の予後は全体的に改善されています。
しかし、ほかの白血病と比べて個人差が大きく、長期間の生存については慎重な経過観察が必要です。

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病は、初期はほとんど無症状なので診断が遅れがちですが、健康診断の血液検査で発見が可能です。
ほかの白血病と同様に倦怠感が現れますが、皮膚の痒みが起こることもあるでしょう。投薬剤のなかでも、チロシンキナーゼ阻害剤の治療によって症状が大幅に改善されることが期待できます。
治癒の確率が大いにあがり、長期間の生存が期待できます。

慢性骨髄性白血病の病期ごとの症状

慢性骨髄性白血病の病期ごとの症状を解説します。
病期はがんの進行度を示す言葉で、慢性骨髄性白血病は病状の進行度によって慢性期・移行期・急性転換期の3つに分けることができます。急性白血病には病期 の概念はありません。
がん化している細胞はどれかや白血病細胞の形、染色体・遺伝子の異常などで8種類に分類するFAB分類で分類します。

慢性期

慢性期でも白血球数と血小板数は増加していますが、白血球はほぼ正常に分化しています。
芽球と呼ばれる未熟な白血球の割合は10%未満です。治療をしなかった場合、3~5年で急性転化期に移行することが少なくありません。そのため、慢性期の場合はその状態を長期間持続させることが治療の目的となります。

移行期

次に紹介する急性転化期と慢性期の間にある病期が、移行期です。
白血病細胞の増殖の程度が高まり、分化する能力も失われます。骨髄や末梢血中の芽球の数が増加し、治療で白血球数のコントロールが難しくなります。脾臓の腫大が進行することもあるでしょう。
慢性骨髄性白血病では外科的治療はほぼ行いませんが、脾臓の腫大によって症状のコントロールが難しい場合や日常生活に影響が出ている場合は、腫大した脾臓の摘出手術が行われることもあります。移行期の症状として、貧血・出血傾向・発熱などの症状が現れることもあるでしょう。
移行期を経ずに急性転化期に移行することもあります。

急性転化期

白血病の症状が進んだ状態です。芽球期や急性期とも呼ばれます。
骨髄や末梢血中の芽球は20%以上に増加していて、慢性期と同じ治療法では白血球数のコントロールはできません。白血病細胞によって骨や皮膚、リンパ節に腫瘤が形成されることもあります。
急性転化期は、芽球の性質によって骨髄性急性転化とリンパ性急性転化の大きく2つのタイプに分類されます。

白血病の予後を決める診断方法

白血病を診断および確定させる検査には、血液検査と骨髄検査があります。
血液検査は健康診断でも行われており、この検査によって白血病が疑われる場合は、骨髄検査を行うことになります。特に急性白血病の場合は迅速な診断が必要です。
血液検査で白血病の疑いがある場合は骨髄検査を行い、白血病と確定診断をします。そして、染色体検査と遺伝子検査などの詳しい検査によって、急性リンパ性白血病あるいは急性骨髄性白血病かのいずれかに診断されます。

遺伝子検査

骨髄検査によって白血病と診断されている患者さんに対して、遺伝子検査ではDNAに含まれる遺伝子情報を解析します。
これによって病気のかかりやすさや体質、遺伝的傾向を調べます。遺伝子に変異がないか、投薬量法のための薬の効き具合などの予測が可能です。さらに、白血病の進行度がわかるので急性か慢性かの判断が可能です。

染色体検査

遺伝子検査と同様で、慢性か急性かあるいは、骨髄性白血病かリンパ性白血病かの判断を行います。
白血病の病型を確定することで、その後の治療方針や治療効果の測定、予後の判定などが可能です。特に急性白血病と診断された場合は迅速に治療方針を決定する必要があり、症状が急速に悪化する可能性があるため、入院が必要です。

血液検査

健康診断でも行われている血液検査です。貧血や肝臓の異常、さらに腎臓の異常や脂質異常症、糖尿病などの診断が目的です。白血球数が高い場合、その原因として感染症・喫煙・ストレスなどが考えられます。
これらに該当しない場合は、白血病を含む血液疾患の可能性があるため、精密検査が必要です。要検査では再び血液検査を行い骨髄検査も合わせて行われることもあります。

骨髄検査

血液検査で白血病が疑われる際に骨髄検査が行われます。
これは、成長過程にある芽球がどれくらい増加しているかを調べる検査です。骨髄のなかにある芽球の比率が一定数以上の割合だと白血病と診断されます。ただし、体調不良などの症状が出ていなければ、慢性白血病か急性白血病のいずれかの判断は、染色体検査と遺伝子検査に引き継がれます。

白血病の予後についてよくある質問

ここまで白血病の症状と治療方法・予後などを紹介しました。ここでは「白血病の予後」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病は完治することがあるのでしょうか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

白血病は長年不治の病とされてきました。一方で投薬治療の進歩によって多くの患者さんが治癒しています。慢性白血病と比べて急性白血病は進行が早く、怖い病気と思われがちですが現在は、成人の急性白血病患者の80%が完全寛解に到達しており、そのうちの40%の患者さんが元気に働いています。

予後は年齢によって回復の相違がみられますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

白血病は加齢とともに罹患率が増える傾向にありますが、若年者が罹患すると進行の速い急性白血病では治癒率が極端に下がる傾向にあります。それでも、抗がん剤による投薬療法の進歩により、急性白血病であってもその進行を遅くすることが可能となりました。症状によっては入院をしなくても、通院での治療も可能です。年齢による相違はそれほどなく治療に臨めます。

編集部まとめ

ここでは、白血病の種類や病期、診断方法を解説しました。

白血病と聞くと不治の病や治りにくい病気など、負のイメージがありますが、抗がん剤による投薬療法が日進月歩で進化しています。

恐怖心があるのも当然ですが、罹患しても治癒できる確率は格段にアップしています。そのためにも早期発見が欠かせません。

健康診断の血液検査でも判断が可能です。少しでも早く病院で受診するきっかけになれば幸いです。

白血病と関連する病気

「白血病」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 急性白血病
  • 慢性骨髄性白血病
  • 慢性リンパ性白血病
  • 骨髄異形成症候群(MDS)
  • 類白血病反応

年に数回発熱するだけであれば白血病やこれらの病気をすぐに疑いませんが、発熱を繰り返す、すぐに感染症にかかってしまう場合は病気が隠れている可能性があります。

白血病と関連する症状

「白血病」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

白血病に罹患すると感染症にかかりやすくなり、健康な人と比べても発熱することも少なくありません。また、赤血球の数が減少するため全身に酸素が行き渡らなくなるので貧血の症状が現れます。出血傾向も見られ、血小板も減少するので血が止まらなくなる症状が見られます。そのため、この3つの症状について、自身の身体の変化にいち早く気付けることが大切です。

この記事の監修医師

OSZAR »