その胃もたれ・腹痛、「胃がん」や「大腸がん」かも… 受診時に伝えるべきことを医師が解説!

胃もたれや腹痛といった症状は日常的なものですが、場合によってはがんなどの重大疾患が隠れている可能性もあります。そうした疾患を見つけるのに大事なのが問診。診察時、医師に伝えるべきことを忘れてしまうと、重大な疾患の見過ごしにつながることもあります。そこで今回は、受診時に伝えるべきことを「牛腸内科クリニック」の牛腸先生に解説していただきました。

監修医師:
牛腸 俊彦(牛腸内科クリニック)
胃もたれの原因・放置するリスク

編集部
胃もたれとは、どのような症状を指すのですか?
牛腸先生
食事をした後、胃が重いと感じたり、胃に長く食べ物が残っていたりするように思う症状が胃もたれです。「食べ物の消化が遅いと生じる様々な不快感」と考えればいいでしょう。
編集部
なぜ、胃もたれが起きるのですか?
牛腸先生
様々な原因が考えられます。食べ過ぎや飲み過ぎが胃もたれの原因になることがありますし、消化の悪いものを食べたときに胃もたれを感じることもあります。そのほか、ストレスによって自律神経が乱れると胃の働きが鈍くなり、胃もたれになることもあります。
編集部
病気が原因のこともあるのですか?
牛腸先生
例えば、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などが原因となって胃もたれが起きる可能性もあります。また、ピロリ菌感染がきっかけとなって慢性胃炎や胃潰瘍が起こり、それによって胃もたれを生じるケースもあるでしょう。
編集部
胃もたれでも受診した方がいいのでしょうか?
牛腸先生
短時間で改善する場合には特に心配ありませんが、長期間にわたって続いたり、頻繁に起きたりする場合には消化器内科の受診をおすすめします。また、市販薬で改善しなかったり、体重減少や食欲不振がみられたりする場合も受診しましょう。場合によっては、胃がんなど深刻な病気が隠れていることもあるからです。
胃もたれや腹痛などで受診するときの注意点

編集部
なんとなくお腹の不調でも受診した方がいいのでしょうか?
牛腸先生
腹痛は日常的な症状であり、少し休めば痛みがなくなったなど、痛みが一時的な場合には受診の必要はないと思います。ただし、時間の経過とともに痛みが悪化したり、痛みのために動けなかったり、食事が取れなかったりする場合には早めに受診することをおすすめします。
編集部
ほかに受診の目安になる症状はありますか?
牛腸先生
しばしば、便秘が原因で腹痛を訴える人がいらっしゃいます。しかし、ただの便秘だと思っても、じつは大腸がんが隠れていることもあります。「腹痛は便秘のせい」と侮らず、受診をすることをおすすめします。
編集部
胃もたれや腹痛などで受診する際、どのようなことに注意したらいいのでしょうか?
牛腸先生
「どのような症状があるのか」「どんなときに症状が強くなるのか」などを具体的に伝えましょう。また、「いつから症状が出たのか」「症状がどのように変化したのか」など、症状の経過も覚えておいてほしいと思います。
編集部
ほかに、医師に伝えた方がいいことはありますか?
牛腸先生
胃もたれや腹痛のほかにも、吐き気、下痢、便秘、胸焼け、お腹のハリなどの症状があれば必ず医師に伝えましょう。特定の食べ物でお腹が痛くなる場合は、その食べ物についても忘れずに申し出てください。
胃もたれや腹痛の受診の際におこなわれる検査とは?

編集部
胃もたれや腹痛のとき、どのような検査がおこなわれるのですか?
牛腸先生
まずは問診と触診で調べます。それにより痛みの場所を特定したり、痛みの性質を判断したりします。その後、血液検査や腹部エコー検査、レントゲン検査をおこないます。
編集部
レントゲン検査では、どのようなことがわかるのですか?
牛腸先生
例えば、腸閉塞があるか、便秘かどうかなどを確認することができます。また、腸炎の一部も発見できることがあります。
編集部
腹部エコー検査では、どのようなことがわかるのですか?
牛腸先生
腹部エコー検査は、超音波を用いて腹部内の臓器や組織の状態をリアルタイムで観察する検査です。腹部エコー検査により、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などの異常を見つけることができます。ただし、胃や腸など内部に空気が入っている臓器の検査には適していないため、必要に応じて胃カメラの検査をおこないます。
編集部
胃もたれする場合、必ず胃カメラの検査を受けなければならないのですか?
牛腸先生
必ずしも必要なわけではありませんが、症状の持続時間や症状がみられる頻度、重症度などによって異なります。市販薬を飲んでも改善しない、慢性的に症状が続く、食欲不振や体重減少がみられるといった場合には、胃カメラの検査を受けることを推奨します。
編集部
胃カメラの検査を受けた方がいいこともあるのですね。
牛腸先生
特に胃もたれや腹痛と共に血便や黒い便が出る場合には、胃から出血していることもあります。その際にはぜひ、胃カメラ検査を受けてほしいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
牛腸先生
胃もたれや腹痛を自覚している人はとても多いのですが、よほど症状が悪くならないと受診しないケースが大半です。しかし、胃がんや大腸がんなどが隠れていることもあるため、早めに受診してほしいと思います。胃カメラに抵抗がある人もいると思いますが、最近では鎮静剤を使うことで楽に受けられるようになっています。以前のような苦痛を感じることは少ないので、ぜひ気楽に検査を受けてください。
編集部まとめ
胃もたれや腹痛は日常的な症状ですが、もしかしたら重大な疾患が隠れている恐れもあります。市販薬を長く使用するのではなく、早めに医師に診察してもらいましょう。
医院情報
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診療科目 | 内科、消化器内科 |