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大腸カメラを受けるべき人の特徴10選 当てはまったら「大腸がん」リスク高め?【医師監修】

 公開日:2025/06/06

日本におけるがんの死亡数を部位別でみると、大腸がんは男性第2位、女性第1位となっています。しかし、早期に発見できれば内視鏡手術で完治が期待できます。そこで今回は大腸カメラを受けるべき症状を「牛腸内科クリニック」の牛腸先生に解説していただきました。

牛腸 俊彦

監修医師
牛腸 俊彦(牛腸内科クリニック)

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昭和医科大学医学部卒業。その後、昭和医科大学横浜市北部病院、富士吉田市立病院、昭和医科大学消化器内科などで経験を積む。2024年、神奈川県藤沢市に位置する「牛腸内科クリニック(旧・牛腸内科医院)」の院長に就任。医学博士。日本消化管学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内科学会認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、神奈川県難病指定医。

大腸カメラを受けるべき症状とは?

大腸カメラを受けるべき症状とは?

編集部編集部

どんな人が大腸カメラを受けるべきでしょうか?

牛腸 俊彦先生牛腸先生

次の10項目に当てはまる人は、大腸カメラを受けることをおすすめします。

  • 便潜血検査の結果が「陽性」
  • 血便がみられる
  • 便に血がついている
  • 下痢や便秘がよく起きる
  • 急激に体重が減少した
  • 腹痛やお腹のハリを訴えている
  • 貧血の症状がみられる
  • 大腸がんを罹患した家族がいる
  • 大腸がんや大腸ポリープを治療した経験がある
  • 40歳以上で大腸検査を受けたことがない

編集部編集部

これらの項目に当てはまる場合は、大腸がんのリスクが高いということですか?

牛腸 俊彦先生牛腸先生

必ずしも大腸がんが見つかるわけではありませんが、そのほかの人に比べて大腸がんのリスクが高いということになります。気をつけなければならないのは、大腸がんは早期の段階ではほとんど自覚症状がないということです。そのため、多くは健診での便潜血検査、血便などで気づくようになります。

編集部編集部

便潜血検査で異常が指摘されたり、血便が出たりしなくても、大腸がんの可能性があるのですね。

牛腸 俊彦先生牛腸先生

はい。例えば、下痢や便秘がよく起きるというのは、大腸がんの典型的な症状です。なぜかというと、大腸がんが大きくなると腸管が狭くなって、便が通過しにくくなるからです。そのため、下痢や便秘を繰り返すようになるのです。また、便が細くなったり、残便感があったりする場合にも大腸がんの可能性が考えられます。

編集部編集部

下痢や便秘は珍しい症状ではないので、放置する人も多そうです。

牛腸 俊彦先生牛腸先生

これらの症状が出ているということは、すでにがんが進行している証拠かもしれません。気になる症状がある場合、早めに大腸カメラの検査を受けることをおすすめします。

大腸がんは遺伝することもある

大腸がんは遺伝することもある

編集部編集部

ほかに気をつけた方がいい症状はありますか?

牛腸 俊彦先生牛腸先生

腹痛やお腹のハリにも気をつけましょう。これらはがんの症状として表れることが多く、がんがお腹の中で大きくなると腸を塞ぎ、便がたまってこのような症状が出るのです。

編集部編集部

貧血にも注意が必要なのですか?

牛腸 俊彦先生牛腸先生

はい。大腸がんが進行するとがん細胞から出血し、血液中の赤血球やヘモグロビンの量が減少してしまいます。そのため、全身の細胞に酸素が行き届かなくなり、貧血になるのです。慢性的に倦怠感、息切れ、動悸などの症状がみられる場合には注意が必要です。

編集部編集部

大腸ポリープを治療したことがある人も、大腸がんのリスクが高いのですか?

牛腸 俊彦先生牛腸先生

大腸ポリープには様々な種類があり、大腸がんと関係のないものもあれば、大腸がんの元になるものもあります。ほとんどの場合は良性ですが、大腸がんの9割は大腸ポリープが移行したものとされているため、現在では5mm以上のポリープは大腸カメラの検査をおこない、必要に応じて切除するのが一般的です。一度大腸ポリープができた人は繰り返しやすいので、定期的に大腸カメラで検査をする必要があります。

編集部編集部

家族に大腸がんを発症した人がいる場合も要注意なのですね。

牛腸 俊彦先生牛腸先生

そうですね。大腸がんには「遺伝性大腸がん」という種類があり、生まれつきの一部の遺伝子の異常が原因で大腸がんが発生します。遺伝性大腸がんは全ての大腸がんの5%程度とされており、親、兄弟、おじ、おば、おい、めい、いとこなどの血縁者に高頻度で大腸がんが発生することが判明しています。

40代以降は、定期的に大腸カメラの検査を

40代以降は、定期的に大腸カメラの検査を

編集部編集部

40歳以上は検査を受けた方がいいのですね。

牛腸 俊彦先生牛腸先生

大腸がんは40代以降になると、発症のリスクが高まります。実際、各自治体でおこなわれている大腸がん検診も40歳以上を対象としています。40歳を過ぎたら、定期的に検査を受けることをおすすめします。

編集部編集部

どれくらいの頻度で受けたらいいのでしょうか?

牛腸 俊彦先生牛腸先生

人によって異なります。例えば、大腸がんの内視鏡治療・外科治療を受けた人や、10個以上のポリープを切除した人、20mm以上の大きなポリープの内視鏡治療をおこなった人は、1年に1回の検査を受けることが推奨されています。また、初回の大腸カメラで2個以内の小さなポリープが見つかった場合には3〜5年後に大腸カメラ検査を受けることが推奨されています。ただし、家族歴などによってもリスクが異なるので、詳しくは医師に確認すると良いでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

牛腸 俊彦先生牛腸先生

大腸カメラは抵抗がある検査だと思いますが、鎮静剤を使えば比較的、楽に検査を受けることができます。また、「検査前に下剤を飲むのが苦痛」と感じる人も多いと思いますが、近年では下剤の種類が増え、各クリニックは工夫して取り揃えています。ご自宅で下剤を飲むのが心配な場合には、クリニックで飲めるように体制を整えているところも増えているので、あまりためらわず、ぜひクリニックに相談してほしいと思います。

編集部まとめ

大腸がんは早期であれば、治癒を見込める疾患です。特に40歳以上で大腸カメラの検査を一度も受けたことがない人は、ひとまず消化器内科や内視鏡専門のクリニックに相談してみましょう。

医院情報

牛腸内科クリニック

牛腸内科クリニック
所在地 〒251-0053 神奈川県藤沢市本町2丁目8-28
アクセス 小田急線江ノ島線「藤沢本町駅」 徒歩9分
JR「藤沢駅」 徒歩11分
診療科目 内科、消化器内科

この記事の監修医師

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