「鼻づまり」を解消する方法はご存じですか? 原因・治療法・放置するリスクも医師が解説!

「鼻づまりがひどくて寝つけない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」、そんな経験はありませんか? 鼻がつまると口呼吸になり、喉の乾燥や睡眠の質の低下につながることもあります。そこで今回は、鼻づまりの原因と効果的な解消法について、「高田馬場みやの耳鼻咽喉科」の宮野先生に解説していただきました。

監修医師:
宮野 一樹(高田馬場みやの耳鼻咽喉科)
鼻がつまる原因

編集部
鼻づまりがひどくてつらいです……。
宮野先生
鼻は生きていくのに欠かせない「呼吸」をするために重要な器官なので、つまってしまうとつらいと思います。鼻づまりが続くと息苦しさだけでなく、頭がぼんやりしたり、睡眠の質が低下したりと、日常生活に支障をきたすことがあります。また、集中力が低下することで、子どもの学習に支障が出ることも考えられます。
編集部
なぜ鼻づまりが起こるのですか?
宮野先生
鼻づまりは、鼻の粘膜の腫れや鼻腔の狭窄によって発生します。風邪やアレルギー、副鼻腔炎などが主な原因です。炎症によって鼻粘膜の血管が拡張したり、粘性の強い鼻水が鼻腔を塞いだりして、空気の通り道が狭くなることで鼻がつまります。
編集部
どうして鼻水が出るのですか?
宮野先生
鼻水は、ウイルス・アレルゲン・異物などを排除するための防御反応として分泌されます。風邪やアレルギーによって鼻の粘膜が刺激されると、粘液が増えて鼻水が多くなります。また、風邪などの主症状がおさまった後に、粘り気のある黄色や緑色の鼻水が出ることもあります。
編集部
様々な要因があるのですね。
宮野先生
そうですね。そのほかにも、鼻が曲がってしまう「鼻中隔弯曲」やポリープなど、鼻の構造的な問題によって慢性的な鼻づまりを引き起こすこともあります。
鼻づまりの対処法

編集部
風邪を引いたときの鼻づまりは、どのように対処すればいいですか?
宮野先生
加湿を心がけ、温かい飲み物を摂ることで鼻の粘膜を潤し、通りを良くします。蒸しタオルを鼻に当てるのも効果的です。また、寝るときに上半身を少し高くすると、血流が改善され鼻づまりが軽減されることがあります。
編集部
なぜ、上半身を高くすると改善するのですか?
宮野先生
横になって寝ると、重力の影響で血液が頭部や鼻の粘膜に集まりやすくなります。特に炎症がある場合、血流が増えるとさらに腫れがひどくなり、鼻の通りが悪くなることがあるのです。こうした場合、上半身を少し高くすると血液が頭に滞留しにくくなり、鼻粘膜の腫れが抑えられるため、鼻づまりが改善しやすくなります。
編集部
アレルギー性鼻炎の鼻づまりにはどう対応すればいいですか?
宮野先生
アレルギー性鼻炎の場合は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンを特定し、それを避けることが基本的な対処法です。こまめに掃除をしたり、マスクを着用したりするのも有効です。また、抗アレルギー薬や点鼻薬の使用も症状の軽減に役立ちますが、長期間の使用については医師と相談しましょう。
編集部
市販の点鼻薬は使っても大丈夫ですか?
宮野先生
1日に1~2回であれば大丈夫です。市販の点鼻薬には血管収縮剤が入っており、一時的に腫れが引くようになっているため、鼻づまりには効果的です。ただし、根本を治すわけではないことと、効果の持続時間が徐々に短くなってくることが多いため、だんだん回数が増えてくるリスクがあります。症状が続く場合は、やはり耳鼻科を受診することをおすすめします。
鼻づまりを放置するリスク・治療法

編集部
鼻づまりが片方だけひどいのですが、原因は何ですか?
宮野先生
鼻中隔湾曲や血流の影響で、片方だけ鼻がつまることがあります。また、寝る姿勢によって血液が片側の鼻粘膜に集まりやすくなるため、横向きに寝ると片方だけつまることもあります。ほかにも、むし歯からくる副鼻腔炎などは片方だけの場合がほとんどですし、腫瘍やカビなども片側に起こります。慢性的な片側の鼻づまりは、耳鼻科で相談しましょう。
編集部
鼻づまりを放置するとどうなりますか?
宮野先生
炎症がおさまることで、自然と改善する場合もあります。しかし、炎症の程度や本人の抵抗力などによっては、副鼻腔炎(蓄膿症)や中耳炎の原因になることがありますし、腫瘍が大きくなって骨を壊すこともあります。長引く鼻づまりは放置せず、耳鼻科で適切な治療を受けましょう。
編集部
鼻づまりで受診した場合、どのような検査をするのですか?
宮野先生
まずは症状について問診をして、内視鏡で鼻の中を詳しく観察します。必要に応じて採血検査で炎症反応やアレルゲンを調べたり、CT撮影をしたりします。
編集部
診断名がはっきりしたら、どのような治療をするのですか?
宮野先生
診断名によりますが、例えば慢性副鼻腔炎であれば抗生物質などの薬を3カ月飲んで、それでも治らなければ手術が検討されます。歯が原因の副鼻腔炎は歯科医院との同時治療をおこないますし、アレルギー性鼻炎であればレーザー治療や舌下免疫療法などが選択されます。カビの場合は薬物療法ではなく手術療法、薬で治せない腫瘍なら大学病院や専門の医療機関でがん細胞の有無を組織検査するといった対応が必要になります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
宮野先生
鼻づまりと言ってもその原因は多岐にわたり、様々な疾患が隠れていることもあります。市販の点鼻薬は即効性がありますが、根本的な治療にはなりません。根本を治療するためには、まず原因を特定することが大切です。放置せず、検査を受けて原因を明確にすることをおすすめします。
編集部まとめ
鼻づまりは単なる不快な症状にとどまらず、睡眠の質や健康にも影響を及ぼすことがあります。まずは生活習慣の見直しやセルフケアを試し、それでも改善しない場合は専門医の診察を受けてください。快適な呼吸を取り戻し、ぐっすり眠れる環境を整えていきましょう。
医院情報
所在地 | 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-17-6 ゆう文ビル5F |
アクセス | JR「高田馬場駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 耳鼻咽喉科、アレルギー科 |