「膵臓がんになりやすい人」とはどういう人? 早期発見が難しい理由も医師が解説

膵臓がんは、国内でがんによる死亡者数が第4位と高く、難治性のがんとして知られています。早期発見が困難で、見つかったときには進行しているケースが多いのが理由のひとつのようです。そこで膵臓がんのリスク因子と早期発見の重要性について「かわぐち消化器内科」の川口義明先生に解説してもらいました。

監修医師:
川口 義明(かわぐち消化器内科)
膵臓がんとは? 死亡率が高いと言われるのはなぜ?

編集部
膵臓がんとはどのようながんですか?
川口先生
膵臓がんは、膵臓の細胞ががん化して発生する病気です。とくに膵管の細胞から発生する「膵管がん」が大部分を占めます。膵臓は消化酵素やホルモンを分泌する重要な臓器ですが、膵臓がんは進行するまで自覚症状が出にくいのが特徴です。
編集部
膵臓がんの人は多いのですか?
川口先生
膵臓がんは、日本国内でがん死亡数の第4位を占めており、その罹患率は増加傾向にあります。特に50歳以上の人に多く見られますが、若い人にも発症することがあります。また、膵臓がんはほかのがんに比べて予後が悪いため、患者数はそこまで多くなくても、死亡率が高くなってしまうのが特徴です。
編集部
治療が難しいがんということですか?
川口先生
はい。膵臓がんは、がんの中でも特に治療が難しいとされています。理由としては、発見が遅れることが多く、診断されたときにはすでに進行しているケースが多いためです。しかし、1cm以下の小さな段階で発見され、外科手術が可能な場合は、根治も可能です。
編集部
どうして発見が遅れることが多いのですか?
川口先生
まずは、早期の段階では自覚症状がほとんどないというのが理由の一つです。現れたとしても「食欲不振」「背中の痛み」「消化不良」など、ほかの病気と区別がつきにくい症状であることも、早期診断を難しくしている要因の一つです。しかし「初期は自覚症状がほとんどない」というのは、胃がんや大腸がんなど、ほかのがんでも同じだと思います。
膵臓がんの早期発見について医師が解説

編集部
ほかにも早期発見が難しい理由はあるのですか?
川口先生
例えば大腸がんなどの場合は、「大腸内視鏡検査」を受けることで、がんのみならず、がんの前段階で病変を早期に発見することが可能です。しかし膵臓がんの場合は、膵臓は体の奥深くにあり、通常の健康診断などでは膵臓を詳しく調べる機会が少ないため、がんが進行するまで発見が遅れることが多いのです。
編集部
膵臓の検査が大事ということでしょうか?
川口先生
そうですね。しかし、一般的な健康診断やがん検診でおこなわれる腹部エコーや血液検査だけでは、膵臓がんを早期に見つけるのはかなり難しいかと思います。膵臓の精密検査としては、超音波内視鏡(EUS)、CT、MRI検査などがあります。特にEUSは、膵臓の詳細な画像を得ることができるため、早期診断に有用とされています。
編集部
EUSとは何ですか?
川口先生
EUSは、内視鏡の先端に超音波装置を搭載し、消化管の内部から膵臓や胆道などを詳しく検査できる方法です。通常のエコーでは見えにくい膵臓の奥深い部分まで確認でき、早期のがんや病変をより正確に評価できます。がんの疑いがある場合は、EUSガイド下で組織を採取し、より精密な診断をおこなうことも可能です。
編集部
健康診断でどのような所見があればEUSを受けるべきですか?
川口先生
健康診断の腹部エコーで「膵管の拡張」や「膵のう胞」が指摘された場合は、精密検査が必要です。膵管の拡張は、膵臓がんの前兆である可能性があり、膵のう胞も種類によってはがん化するリスクがあります。放置せず、速やかに医療機関で検査を受けましょう。
膵臓がんのハイリスク群ってどんな人? 生活習慣と関係があるの?

編集部
ほかに、膵臓がんのリスクが高い人とはどういう人ですか?
川口先生
膵臓がんの家族歴がある人、糖尿病を新たに発症した人や悪化した人、慢性膵炎の患者さん、膵のう胞を持つ人などは膵臓がんのハイリスク群です。また、喫煙や過度な飲酒、肥満などもリスクを高める要因となるため、これらに該当する人は特に注意が必要です。
編集部
生活習慣とも関連があるのですね。
川口先生
はい。膵臓がんのリスクを減らすためには、禁煙、過度な飲酒を避ける、バランスのよい食事を心がける、適度な運動をおこなうなど、健康的な生活習慣を取り入れることが重要です。また、糖尿病や慢性膵炎を抱えている方は、適切な治療を続けることでリスクを下げることができます。もちろん、定期的に検診を受けることは非常に大切です。
編集部
どのような医療機関で検診を受けたらよいでしょうか?
川口先生
膵臓がんの検診を受ける際は、膵臓疾患に詳しい消化器内科医がいるクリニックを選ぶとよいでしょう。また、例えば当院のようにEUSなどの高度な検査を実施している医療機関であれば、より詳細な診断も可能になります。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあればお願いします。
川口先生
がんは怖い病気ですが、過度に恐れることなく、定期的な検診で画像検査(エコー、CT、MRI)を受けて早期発見・早期治療することが重要です。先ほど解説したリスクに当てはまる人はもちろん、特に当てはまるリスクのない人でも、50歳を過ぎたら一年に一回の検診を受けましょう。可能であれば、EUSを受けることもお勧めします。
編集部まとめ
膵臓がんは早期発見が難しく、進行が早いため、定期的な検診と生活習慣の見直しが重要です。特に高リスク群に該当する方は、定期的にEUSなどの精密検査を受け、膵臓の状態を確認することをおすすめします。自身の健康状態を把握し、膵臓がんの予防・早期発見に努めましょう。
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