「乳がんから転移しやすい部位」はご存知ですか?医師が徹底解説!

Medical DOC監修医が乳がんから転移しやすい部位を解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「乳がんが転移」するとどんな症状が現れるかご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
山田 美紀(医師)
目次 -INDEX-
「乳がん」とは?
乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍です。がんの広がりが乳房や周囲のリンパ節のみであれば、手術で目に見えるがんを治療します。さらに、薬物治療や放射線治療によって再発を予防します。初期の段階から微小ながん細胞が身体のどこかに存在していることが乳がんの特徴です。微小ながん細胞が、治療をすり抜けて目に見える形で現れることを再発といいます。
乳がんの局所再発とは?
乳がんの局所再発とは治療後に手術した側の乳房、胸壁や皮膚に乳がんが発生することです。脇の下、鎖骨周囲、胸骨の横などの乳房周囲のリンパ節に乳癌が再発することを領域再発といいます。
乳がんの遠隔転移とは?
乳がんの遠隔転移とは乳房から離れた臓器や組織にがんが現れることです。乳がんは血液やリンパ液の流れに乗って、離れた場所に転移することがあります。乳がんが診断された時点で遠隔転移がある場合はステージ4です。
乳がんから転移しやすい部位
乳がんが転移しやすい部位についてご紹介します。
骨
乳がんが転移する順番として、約30%の患者さんで最初に骨に転移します。背骨、骨盤、大腿骨、上腕骨、肋骨、頭蓋骨などに転移が多いです。膝から下や肘から先の骨にはほとんど転移しません。症状として、転移した部位の痛みを自覚することがあります。荷重のかかる部位では骨折することもあり、強い痛みが出る可能性があります。症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。また、背骨に転移がある場合、進行するとしびれや麻痺の症状が出ることがあります。その場合は緊急性が高いため、すぐに受診しましょう。
肺
乳がんが血液やリンパ液の流れに乗って、肺転移をすることがあります。初めは転移があっても無症状のことが多く、画像検査で発見されることがあります。進行すると、長引く咳や息苦しさなどが現れます。症状が続く場合は、医療機関を受診しましょう。
肝臓
乳がんが血液の流れに乗って、肝臓に転移を引き起こすことがあります。肝転移は沈黙の臓器ともいわれ、症状が出ないことが多いです。進行すると、お腹の張り、黄疸、食欲不振、体重減少などの症状が出てくることがあります。症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。
脳
・どんな病院・科に行くべきか、受診時の注意点、緊急性
乳がんが脳に転移することがあります。脳に転移した場合、頭痛、めまいや嘔吐などの症状がでることがあります。転移した場所や程度によって、麻痺、けいれんや意識障害などの症状が現れることもあります。症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
リンパ節
リンパ液の流れに乗って、乳がんがリンパ節に転移することがあります。首のリンパ節など乳房から少し離れたリンパ節に転移した場合は、遠隔転移とみなされます。症状として、リンパ節の腫れに気が付くことがあります。症状がある場合は、乳腺科を受診しましょう。
「乳がんの転移」についてよくある質問
ここまで乳がんの転移について紹介しました。ここでは「乳がんの転移」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
乳がんはどこの部位に転移しやすいですか?
山田 美紀 医師
乳がんは血液やリンパ液の流れに乗って転移します。転移しやすい部位として、リンパ節、骨、肺、肝臓、脳などがあげられます。
乳がんが転移した場合、手術はできないのでしょうか?
山田 美紀 医師
遠隔転移がある場合、基本的に手術はすすめられません。全身にがん細胞が潜んでいる状況のため、全身に効果のある薬物治療がすすめられます。例外として、全身状態が良ければ、転移を診断するための手術や症状を和らげるための手術を行うことがあります。
編集部まとめ
乳がんの再発には局所再発と遠隔転移があり、治療の方針が大きく異なります。局所再発は治癒を目指しますが、遠隔転移は、完治は難しく、がんの進行を抑え、症状を和らながら長期生存を目指します。再発がどうやってわかるのか、どんな治療を行うのか、不安に感じられると思います。気になる症状がある場合は、担当医や医療スタッフに相談しましょう。
「乳がんの転移」と関連する病気
「乳がんの転移」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
整形外科の病気
脳神経科の病気
- 脳腫瘍
- 髄膜播種
呼吸器科の病気
- 肺腫瘍
- 胸膜播種
- 癌性胸水
- 癌性リンパ管症
消化器科の病気
- 肝腫瘍
- 癌性腹水
病巣が単発である場合、乳がんの転移なのか、その部位から新たに発生した腫瘍なのかの区別が難しいことがあります。転移した部位の専門家と連携して検査や治療を行います。
「乳がんの転移」と関連する症状
「乳がんの転移」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 乳房や皮下のしこり
- 皮膚の赤み
- リンパ節の腫れ
- 骨の痛み
- 息苦しさや長引く咳
- お腹の張り
- 頭痛やめまい
乳がんが再発や転移した場所によって起きる症状は様々です。症状がなかなか改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。