「膵臓がんの末期の治療法」はご存知ですか?医師が監修!

膵臓がんは発症から発見までの時間が長く、すでに手術による治療ができない程進行して発見されることが多いがんです。
そのため、発症後の死亡率が高いことが特徴です。膵臓がんの末期と診断された場合、どのような症状が出るのでしょうか。
この記事では、膵臓がん末期の治療法について解説します。膵臓がんと診断された方、または家族が診断された方の参考になれば幸いです。
※この記事はMedical DOCにて『「膵臓がんの末期症状」はご存知ですか?原因や治療法も解説!医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
膵臓がんとは?
膵臓がんとは、膵臓に生じた悪性腫瘍です。以下の3つの種類がありますが、膵がんのほとんどは膵管がんを発症します。
- 浸潤性膵管がん:膵管上皮から発生するがん
- 腺房細胞がん:腺房細胞(消化酵素を生成)から発生するがん
- 粘液産生膵がん:年影木を多く産生する膵管内腫瘍ががん化する
膵臓は食べ物を消化する膵液を産生したり、血糖値を調整するインスリンなどのホルモンを分泌したりする働きがあります。がんが発症すると、消化やホルモン分泌に異常をきたしますが、すぐに症状が出るわけではありません。
がんの進行に伴い、徐々に腹痛・食欲不振・お腹の張りなどの症状が出現しはじめます。膵臓がんの悪性度は高く、進行すると完治は困難になるため、予後も悪い病気です。
膵臓がん末期の治療法
膵臓がん末期の治療法は、化学療法と放射線治療です。膵臓がんの局所的な進行でも、切除が困難な部位の場合に対象になります。また、ほかの臓器に転移している場合も化学療法と放射線治療の対象です。
化学療法
化学療法とは、抗がん剤を使用した薬物療法です。がん細胞の機能を障害したり、がん細胞の増殖に必要なタンパク質を標的にしたりして、がん細胞を攻撃する働きがあります。
治療の目的に合わせて抗がん薬を組み合わせ、患者さんの状態・目的に合わせて行います。しかし、薬物療法にはさまざまな副作用があり、日常生活に支障をきたす可能性も高い治療法です。
放射線治療
放射線治療には、治療の効果を高めることを目的とする場合と、症状の緩和を目的として行う場合があります。前項の化学療法を併用する治療法は、化学放射線療法と呼ばれています。
遠隔転移はないものの、手術ができない膵臓がんの主な治療法です。また、がんの遠隔転移がある膵臓がんには、痛みなどの症状の緩和を目的として行われます。骨転移に伴う痛みにも有効です。
膵臓がんの末期についてよくある質問
ここまで膵臓がんの特徴・症状・放射線治療などを紹介しました。ここでは「膵臓がんの末期」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
膵臓がんの原因について教えてください。
甲斐沼 孟(医師)
- 糖尿病
- 肥満
- 飲酒
- 喫煙
また、家族・親戚に膵臓がんを発症した方がいらっしゃる場合は、膵臓がんを発症するリスクが高いため注意が必要です。ほかにも既往疾患に慢性膵炎・膵管内乳頭粘液性腫瘍を持つ方もリスクが高いとされています。まずは生活習慣を整えることが、膵臓がんを予防する1つの手段といえるでしょう。
膵臓がんの末期患者への緩和ケアはどうしたらよいでしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
膵臓がんは進行するスピードが早いことに加えて、一般的には予後が不良ながんです。進行するとさまざまな身体的な症状が出現するため、膵臓がんと診断された時から緩和ケアを介入することが大切になります。膵臓がんの進行に伴い、背中や腰に痛みが生じるため医療用麻薬を使用し疼痛コントロールを行います。また、残された時間をどのように使うかは患者さんの意向に沿って行うことが大切です。家族も踏まえ、これからの治療・ケアについて病状を受け入れつつ、話し合いを重ねていきましょう。
編集部まとめ
膵臓がんは進行が早く、死亡率も高い疾患です。がんと診断された時は、検査や治療と同時に緩和ケアの介入をおすすめします。
末期になると精神的・身体的にも負担が大きく、患者さんや家族が病状を理解する時間が十分に取れないこともあるでしょう。
また、生活習慣病のリスクを減らし、膵臓がんの発症を防ぐ生活を心がけることが大切です。
万が一、体調の悪さを長期間感じる際には、早めに病院に受診してください。
膵臓がんと関連する病気
「膵臓がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 慢性膵炎
- 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
慢性膵炎の場合、発症すると膵臓がんを発症するわけではありません。しかし、膵臓にダメージを与えるため、健常な方と比較するとがんを発症する可能性が高くなります。膵管内乳頭粘液性腫瘍とは、膵管上皮にイクラのような物が出現し、粘液を多量に分泌する疾患です。初めは良性の腫瘍ですが、時間の経過に伴い最終的には浸潤性膵管がんに変化します。
膵臓がんと関連する症状
「膵臓がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
膵臓は消化に関わる働きがあるため、膵臓になにかしら問題が生じると、食欲や消化器官に関する症状が出現します。仕事やプライベートで疲れが溜まったり、ストレスを感じたりするように、普段の生活のなかでも同様の症状が生じることがあるでしょう。しかし、症状が長期的に続く、あるいは悪化するような場合には早めに病院へ受診してください。